Forever Ryuichi . Sakamoto
坂本龍一さん
私と同年齢の彼ががん闘病中にご逝去されましたこと謹んでご冥福をお祈りいたします。
職人拝:菅野敬一
坂本龍一さんは1970年代にまだ一般的では無かった電子楽器シンセサイザーの可能性にいち早く注目し、レコーディングやライブの演奏に取り入れた。
大学院を修了後、1978年にミュージシャンの細野晴臣氏、高橋幸宏氏とともに「イエロー・マジック・オーケストラ」=「YMO」としてアルバムを発表。
斬新な音楽性で“テクノポップ”という新たなジャンルを築き、その革新的な音楽は国内だけでなく海外からも高く評価される。
シンセサイザーとの出会いについて彼は、2014年に放送の番組「スコラ 坂本龍一音楽の学校」の中で、「尺八」を吹けるようになるには何年もかかるが、シンセサイザーを使えば近いような音は出て、それによって使える音色が飛躍的に増えるとして「ものすごく喜びを感じていました」と話している。
先端技術への興味は楽器だけでなく、インターネットのさまざまなサービスもれい明期から活用して、自身のウェブサイトもいち早く立ち上げた。
1995年マイクロソフト社の「ウィンドウズ95」が日本で発売された直後の11月に日本武道館で行ったコンサートを、当時の最先端の配信技術を用いて通信衛星を経由したインターネットで配信するなど、今の動画や音楽配信にも使われる技術の発展にも貢献。
彼の言葉として
Ars longa,vita brevis
「芸術は長く、人生は短し」
深い言葉だ。
YMO時代、ハイスピードの演奏をしていた彼が、晩年グランドピアノをゆったりと、優しく、音の表情豊かに弾く姿は、人生の物語を紡ぐように愛おしいものだと語っているように見える。
たどり着いた境地のようだ。
ヘッドホンを使って没入できる方法・時間帯で、是非、繰り返して聴いてほしい。饒舌な最高傑作をご堪能あれ。
また一人逸材となるアーティストが旅立った。
Photographer : Kei SUGANO
出典: NHKニュース・YOUTUBE