母:田中佐太郎の教え
田中傳次郎氏の母は、歌舞伎囃子方
の家元。
「楽しちゃいけない、続けなさい。
良かったですね。はい、もう一回。」
とお稽古は延々と続き、女性ながら
父の後継者となり田中佐太郎を襲名。
囃子大皷方亀井忠雄さん(人間国宝)
と結婚され、3人の息子さんを育て
られた。
小さい内から正座をさせ、稽古場に
入って、着物に着替えて向き合った
瞬間に、もう母子ではなく芸の伝承
世界に入っていく緊張感があった。
母: 田中佐太郎は師匠となり、厳し
く息子3人に、父の芸を教え込み
長男を能楽囃子方に
次男と傳次郎氏を歌舞伎囃子方に。
鼓は、鼓らしい音がでるまで10年
思うような音になるまで15年。
そしてこの段階に至ってやっと
「下手になったといわれる。」
「思うような音がでるようになる
までは評価の対象にすらならない。
「下手になった」ということは
やっと評価されるレベルになって
きたということ」
この母の教えがあってこそ傳次郎
氏は歌舞伎の世界を歩まれている。
出典:NHK 「鼓の家」

Photographer : てるうちきよし

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