
Tsudumi to tomoni
歌舞伎囃子方・田中傳次郎(たなかでんじろう)氏。
能楽師葛野流大鼓方の人間国宝である父と、歌舞伎囃子田中流前家元である母の元に生まれ、18歳で7代目・田中傳次郎を襲名。
天皇即位の礼の後の晩餐会では、狂言師・野村萬斎との共演で、見事な鼓の演奏を披露した。
「そもそも鼓を知らない人の方が世の中の大半。知って頂くことがまず最初かなと。」
古くは安土桃山時代のものだという鼓の「胴」や「調べ」と呼ばれる麻の紐などをケースから取り出し、鼓の構造や機能、その
歴史について説明を始めた。
仕組みや歴史についても語った後に即興演奏することで、鼓の魅力を表現した傳次郎。自身のことを伝統文化の魅力を伝えて行く
ための一つのピースだと考えているという。
「自国の文化を愛することが大事。四季を感じる、郷土芸能を見る、日本酒を飲む。2020年に向けて、自国の文化とは何ぞや?と
いうことに興味をもってもらえたらいいのかなと思っています。」
能と歌舞伎、2つの伝統芸能を受け継ぐ家の三男として生まれ2歳の時から伝統芸能の基礎を叩き込まれた田中傳次郎氏。
父は厳しかった。
「二流じゃ辞めろ」「一流じゃダメだ」「超一流になれって」
ずっと言われ続けていた。
12歳で歌舞伎囃子方の道に進むことを決意し、18歳で「七代目・田中傳次郎」を襲名。
己の芸を磨きながら、枠に囚われず様々なアーティストと新しいエンターテイメントを追求し続けてこられた。
田中氏から安土桃山時代より継承されている鼓の専用Caseのご依頼をいただく。
680年のいにしえの旅人との出逢い。
我が作品が歌舞伎の未来をともに旅することの喜び。
想像するだけでゾクゾクする時空を超えた物語のPrologueとなる。
出典:TV ASAHI 白の美術館